POホスファチジルコリンについて

POホスファチジルコリンは1位(α位)にパルミチン酸、2位(β位)にオレイン酸、 3位(γ位)にコリンが付いています(図1)。

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動物での検証

ラットの脳(海馬)切片を用いたシナプス活動評価実験において、POホスファチジルコリンはLTDを増強しました(図2)。この結果は、POホスファチジルコリン自身にLTD増強作用があることを示しています(文献1)。

POホスファチジルコリンはスコポラミン処理によるラットの記憶障害を改善しました(図3)。この結果は、POホスファチジルコリンがLTDを増強することにより記憶障害を改善することを示唆しています(文献1)。

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ヒトでの検証

イメージ ヒト認知機能障害に対するPOホスファチジルコリンの効果判定を行いました。
POホスファチジルコリン(300mg/日、経口)を服用した59歳から93歳(平均77歳)の67症例(男性31、女性36)とPOホスファチジルコリンを服用しなかった対象者9症例(男性4、女性5;平均年齢79歳)に対して認知機能検査 (MMSE;30点満点で20点以下が認知症)

POホスファチジルコリン服用群において服用前の認知機能スコアの平均は18点(認知症範囲)で、服用後1ヶ月でスコアの平均は20点以上(正常範囲)になり、6ヶ月後もそのスコアを維持していました(図4)。 これに対して、POホスファチジルコリン非服用群においては認知機能スコアの改善が全く認められませんでした(図4)




この結果は、POホスファチジルコリンがヒトにおいても有効な認知機能障害改善作用を示すことを証明しています(文献1)。
既存の認知症治療薬Aを6ヶ月以上服用していた認知症症例10例に対してPOホスファチジルコリンの効果を検討しました。POホスファチジルコリン服用前の認知機能スコアはすべて20点以下(認知症範囲)でした。
認知症治療薬A を中止してPOホスファチジルコリンを投与したところ、1ヶ月後からスコアの上昇がみられ、6ヶ月後には10症例中7 症例が20点以上の正常範囲にまで回復しました(図5)。この結果は、POホスファチジルコリンに既存の認知症治療薬A よりも優れた認知症改善作用があることを示唆しています。

POホスファチジルコリンの認知機能障害改善作用メカニズムとして以下のことが考えられます。

このように、POホスファチジルコリンは認知機能障害、特に記憶障害に対して非常に有効な改善剤であると思われます。

先端生体情報研究機構 監修